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交響曲 第2番 ハ短調 ≪復活≫

作曲:1888〜94年 
初演:1895年12月、ベルリンでマーラー自身の指揮によっておこなわれた
出版:1897年、ライプツィヒのホフマイスター社

この曲の作曲中、マーラーには様々な悲劇がおとずれる。
まず1889年の2月に父親、10月に母親を相次いで亡くし、すぐ下の妹も脳腫瘍で死去。彼自身は持病の痔に悩まされる。1895年には弟も死去。そんな状況でも旺盛な創作意欲のもとに本局の作曲はおこなわれた。

死と関連のある第1楽章で前作の交響曲≪巨人≫を葬り去り、それが最終5楽章で復活するという構想は、ハンス・フォン・ビューローの死がきっかけだといわれている。

≪復活≫という標題は最終楽章の歌詞、クロプシュトクの「復活」という讃歌から来ている。その思想は復活があるからこそ人の死は無駄ではなく、この世の労苦は十分に意味深いものであるというもの。




第1楽章 「完全にまじめで荘厳な表現」 

445小節の巨大なソナタ形式。マーラーはこの楽章で第1交響曲の≪巨人≫を葬り去ろうと考えていた。

葬送行進曲風の第1主題ではじまる。次第に激しさを増していき全楽器が加わって強烈になったところでスーッと引いていき、メロディアスで印象的な第2主題が流れてくる。

 第1主題
 


 第2主題
 


いくつもの動機が絡み立体的な展開をみせ、葬送行進曲がきて提示部をしめくくる。

 
葬送行進曲
 

展開部は大きく3つに分かれていて、まずは第2主題で美しく始まる。しだいに第1主題と激しい動機が精力を増してきてクライマックスに向かう。
さらに第2部、第3部と続き、最後に頂点へ達して第1主題で始まる再現部へ。 

この楽章だけで20分を越える。
マーラーはこの楽章が終わったら5分間の間をあけるように指示している。

第2楽章 「きわめて気楽に」

巨人の過ぎ去った幸福な瞬間、青春の失われた純粋さへの回想がこの楽章のテーマ。
主題はあくまでも穏やかで、この楽章をつねに統一する。

 主題
 

途中で嬰ト短調に転調して小刻みなリズムが刻まれ、そこにゆったりとした雰囲気の旋律がのってくる。
変イ長調にもどって主題が再現され、最後は消えるように終わる。

第3楽章 「おだやかに流れる動きで」

第2楽章の夢から覚めて再び生活の喧騒に戻ったとき、人生の絶え間ない流れが迫ってくる。

なめらかなスペイン民謡を思わせる主題。これに
「カッコー」風のメロディがからむ。マーラーはあくまでも≪巨人≫と≪復活≫を関連させたかったのだろう。

 主題1
 


 主題2
 


第1部の自由な再現があってクライマックスを築いたあと、主題が断片的に再現して、そのまま第3楽章へと続いてゆく。

第4楽章 「極めて荘厳に」

この楽章はもともと「子供の不思議な角笛」の「原光」として作曲されたもの。素朴な信仰の歌が流れ、自分は神のもとへ戻ってゆく」という考えに基づいている。

声楽パートに続いて流れる旋律は、マーラーの書いたもっとも美しいものとされている。

 声楽の後の旋律
 


第5楽章 「極めて荘厳に」

再び恐ろしい問題に直面する。最後の審判の日は近づき大地は震え、墓から死者が立ち上がる。王から乞食まであらゆる者たちが荒野を行進し、静寂の中を夜鷹の鳴き声が聞こえる。
聖者たちが≪復活≫せよと歌い神の栄光が現れ、愛が全てを至福なものへと浄化する。
曲はそのような内容にそって展開する。

強烈な響きの第1主題。不気味な低音弦の動きの中、静かに行進曲風な慰めの第2主題が続く。
ゆったりと英雄をたたえるかのような旋律の第3主題は≪復活≫の主題でもある。
第4主題は静かに出てきて次第に強烈さを帯びてくる。ここまでが第1部。

 第1主題
 


 第2主題
 


 
第3主題
 


 
第4主題
 


精力的なアレグロの第2部は主題の様々な展開がおこなわれ、速度を落としたところで第3部が荒野の呼び声で始まり、フルートとピッコロが夜鷹の鳴き声を示す。
合唱が無伴奏で≪復活≫の讃歌を歌い、高らかに崇高な響きが大いに盛り上がって曲をしめくくる。

 荒野の呼び声
 



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