マーラーの交響曲
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マーラーの交響曲
「第1交響曲」は純粋な器楽のみの交響曲だが、ここですでに古典交響曲にはない新しい試みが行われている。

続く2番から4番までの交響曲では声楽が取り入れられており、歌曲集「子供の不思議な角笛」と特に密接な関連があることから、この3曲は≪角笛3部作≫と呼ばれている。

声楽を用いた3つの交響曲のあと、今度は3曲続けて器楽のみの交響曲に取り組むようになる。これらの曲はどれも超特大編成のオーケストラが用いられ、実験的な試みがさかんに行われている。

古典的交響曲に対する挑戦の後、「第8交響曲」と「大地の歌」にの2曲では声楽と器楽を区別しない境地にまで達する。

そして「第9交響曲」では再び器楽のみの編成に戻る。この曲によってマーラーは交響曲の頂点を築き完結させたのだった。



交響曲 第1番 ニ長調 ≪巨人≫

演奏時間55分


初演からしばらくは5楽章の交響詩とされていた。
後に≪巨人≫という表題がつけられ第2楽章が削除されるなど、何度となく改定が繰り返される。
恋愛と失恋を直接の動機として作曲されたところから、マーラー版「若きウェルテルの悩み」と評されることもある。

第1楽章冒頭に出る「カッコウの動機」が交響曲全体の基本を成していて、全ての楽章を通して1つの流れを維持している。
曲の途中でこれまでの楽章のモチーフが次々と現れる構成は、古典的交響曲の時代にはなかったもの。

マーラーの交響曲の中では一番ポピュラーで親しみやすい曲で、とりあえずどれから聞こうか 考えている人にはお勧め。


交響曲 第2番 ハ短調 ≪復活≫

演奏時間80分


この曲は第1交響曲と様々な点で関連があり、管楽器の規模を拡大されるなど、スケールはより大きくなっている。表題は第1楽章で葬り去った≪巨人≫が最終楽章で≪復活≫するというテーマに基づく。

声楽が出てくる最初の交響曲でもあるが、マーラーはベートーベンの「第9交響曲」の真似だと指摘されるのを心配していた。そのため歌詞の選定にはとても時間がかけられている。

全体で1時間20分以上と長いものの、作品のレベルはとても充実している。
メロディの美しさが有名な第4楽章は「子供の不思議な角笛」歌曲集からの転用。


交響曲 第3番 ニ短調

演奏時間100分


マーラーの全交響曲の中で、演奏時間がもっとも長い。
全6楽章だが最初は7楽章として構想されていた。
最終的にはずされた終楽章は、次の交響曲第4番の第4楽章に転用される。

一時は表題に≪牧神≫と名づける案もあった。
曲の内容は自然、苦悩、天国を表現していて、自然を心から愛したマーラーの思想がこの第3番にはふんだんに持ち込まれている。

児童合唱やグロッケンシュピールを編成に加えるのなど、斬新な試みが多くなされていて、ある意味ではもっともマーラーらしい曲かもしれない。


交響曲 第4番 ト長調

演奏時間55分


長くなる一方だった演奏時間は短くなり、管弦楽の編成も縮小された。この曲ではこれまでの交響曲にみられるような激しさは、ほとんど登場しない。

「第2交響曲」、「第3交響曲」と同じように「子供の魔法の角笛」と深く関連していることから、3作をまとめて角笛3部作として括られることが多い。

クリスマスを連想させる明るくような親しみやす楽想のため人気の高い曲だが、初演のときは評価が低かった。


交響曲 第5番 嬰ハ長調

演奏時間70分


「第1交響曲」以来の器楽のみによる編成。ここでは独創性を重視する古典的芸術作品と、どこにでもあるような通俗音楽的な要素がアンバランスに混在している。

第3楽章ではグロッケンシュピールやホルツクラッパーが使われるなど、実験的要素もあちこちに散らばっている。

この曲の第4楽章は、映画「ベニスに死す」で使われたことで特に有名。


交響曲 第6番 イ短調 ≪悲劇的≫

演奏時間75分


「英雄の破滅」を描いた作品であるが、第1楽章でアルマ、第2楽章で2人の子供、第4楽章ではマーラー自身が描いたことで、結果的に≪悲劇的≫な彼の家族の運命を暗示する曲となった。

マーラーの交響曲の中で唯一終楽章が短調の曲。あまりの不吉さを嫌ったためか、終楽章のハンマーは後にカットされてしまう。

第1楽章の出だしの重い行進曲が耳に残る。それに絡むアルマのテーマはあくまでも美しい。
わりと地味な印象があるが、繰り返し聞くのに十分耐えられる曲である。


交響曲 第7番 ホ短調 ≪夜の歌≫

演奏時間90分


器楽編成のみの交響曲3部作の3作目で、このグループの頂点に立つ作品だけに前作と比べると格段の進歩を遂げている。

ギターやマンドリンを編成に加えるなど、ここでも実験的な試みは行われている。
≪夜の歌≫とは第2、第4楽章の2つのアンダンテにつけられた表題。

この曲が初演されるとき、マーラーは24回ものリハーサルを行い、そのたびにそのたびにスコアを持ち帰り修正を加えた。
そうした苦労にもかかわらず、聴衆はこの曲の革新性が理解できず、評価は芳しくなかった。
マーラーの交響曲の中では、「第10交響曲」についでもっとも馴染みの薄い曲。


交響曲 第8番 変ホ長調 ≪千人の交響曲≫

演奏時間80分


これまで交響曲と歌曲の作曲が平行して行われてきたが、ここへきて遂に一本化される。
「交響曲」とつけられているものの、最初から最後まで声楽を伴うこの曲は、むしろカンタータと呼ぶほうがふさわしいくらいである。

当初は4楽章で構想されていたが、2〜4楽章がまとめられて長大な第2部となった。
従来の交響曲のあり方をを極限にまで推し進めたものといっていいかもしれない。

マーラーの交響曲としては初めて初演時に喝采を浴びた曲でもある。


交響曲 第9番 イ短調

演奏時間80分


「大地の歌」をはさんでマーラーが完成させた最後の交響曲であり、彼のマーラーの交響曲の頂点となる作品。
第4楽章のヴァイオリンによる最後の盛り上がりが極めて印象的。

器楽のみによる編成で4楽章からなるが、最初と最後の楽章にアダージョが置かれるなど、変則的な構成となっている。

多くの仕事をかかえ体力的に消耗し、常に死の恐怖を感じながら書かれた曲であり、実際、マーラーはこの曲を書き上げた翌年の5月にこの世を去った。


交響曲 第10番 嬰へ長調

演奏時間70分(補筆版)


完成に近い形で残されたのは第1楽章のみ。3、4楽章はショートスコアがほぼ出来ていたが、2、5楽章は骨組みだけのような形で、楽章の順番も最終的には決定していなかった。

残された資料から全楽章を復元する試みは長い年月にわたって行われ、作曲者の死後60年以上たった1976年に、全楽章補筆が完成された。

第1楽章のみに限ればなかなかの傑作。しかし復元版に関しては、あくまでもマーラーがどういう作品を作ろうとしていたかを想像するための資料と考えるべきであろう。


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