ピアノ楽曲 管弦楽曲 歌曲、宗教曲 リストの生涯 リンク
巡礼の年、第1年:スイス Annees de pelerinage Premiere annee Suise 

解説

20代後半のリストが、当時パリ社交界の花形だったダグー伯爵夫人と、
スイスへの不倫旅行を行なったときの思い出として作曲した作品集。人間と自然を取り巻く自然と人間のうちなる自然、という二十の意味での自然が扱われている。リスト自身の本性は憐れみに満ち溢れていて、その気質が革命に対する共感と直接に結びついている。

「ウィリアム・テルの礼拝堂」を訪れたときには、スイスの開放への戦いを思い起こしている。荘重な導入部に続いて、反乱を示す響きが「自由」を獲得するまで山々にこだまする。

「ワレンシュタートの湖にて」は湖の静けさが「粗野」な世界と対象をなすものとして表されている。

牧歌風の「パストラール」2度の音程がたくさんの水滴のきらめきを思わせる「泉のほとりで」のあとには、「嵐」が続く。

「オーベールマンの谷」では人間の心は外に向かって大きく開かれているが、これはあくまでも個人的な告白を伝えるものである。

「牧歌(エピローグ)」は優雅な完璧さを持ち、田園の自然が持つロマン主義の風情を表現している。

「ジュネーブの鐘」の初期稿は、リストとマリーのスイス不倫旅行中に生まれた娘、ブランディーヌに捧げられている。マリーとブランディーヌに優しく包まれていたリストの、当時の心情を表しているかのような、穏やかな安らぎに満たされた作品である。

愛聴盤

ラザール・ベルマン(ピアノ)

録音1977年5月ミュンヘン

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