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ファウスト交響曲 Faust Symphony 

解説

リストが「ファウスト交響曲」を作曲するきっかけは、ベルリオーズの「幻想交響曲」が初演される前日に二人が初めて会見したとき、ベルリオーズにリストがまだ読んでしなかった「ファウスト」を勧められたことだった。このときリストは19歳、ベルリオーズは27歳だった。

1840年には「ファウスト交響曲」の構想を練り始め、1953年からスケッチにとりかかりほぼ完成させている。しかしその後も細部の補筆を繰り返し、1857年にリスト自身の手を初演が行われた。この曲が1954年に出版されたときにはベルリオーズに献呈されたが、更に改定されて1861年に現在の形となった。

構成

曲はファウスト、グレートヒェン、メフィストフェレスの3人の性格が、それぞれ音楽で描き分けられている。

第1楽章=ファウスト
全曲の中心をなす楽章でソナタ形式をとっている。ファウストの性格が5つの基本的な性質として描かれていて、
第1:ファウストの神秘的な世界を解明しようとする姿
第2:ファウストの高きものへの憧れや愛情
第3:ファウストの野心や闘争心がヴァイオリンの情熱的な動きで示される
第4:ファウストの苦悩がオーボエやクラリネットに表れる
第5:ファウストの英雄的抱負がホルンとトランペットに示される
となっている。
これら5つの主要主題に基づくソナタ形式だが、再現部は極端に擬縮されている。

第2楽章=グレートヒェン
単純な3部形式で、グレートヒェンの愛らしい清楚な姿が描かれる

第3楽章=メフィストフェレス
すべてを否定するメフィストフェレスには主題を与えていない。その代わりにこれまでの主題、特に第1楽章の主題を様々に変容することでメフィストフェレスの人物像を描いている。それは全体の統一という意味でも効果をあげている。
グレートヒェンの主題だけは変容されずに再現される。これはメフィストフェレスもグレートヒェンの高貴さは嘲笑えないことを示してしるのだろう。
最後はグレートヒェンの主題が再現され、音楽は次第に高潮して終わる。

愛聴盤

エルネスト・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団
ジュネーブ・ヴォルテール会合唱団

録音1981年1月 ジュネーブ・ビクトリア・ホール

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