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交響詩第1番「山上で聞きしこと」 Ce qu'on entend sur la montagne

解説

抽象的、哲学的な思念を音楽で表そうとリストが創始した交響詩の最初の作品。30分にも及ぶ超力作である。1833〜35年にスケッチがなされているが、完成したのは1849年になって完成した。その後、2度にわたり改定を加えている。

もとになったのはユーゴーの1831年に出版された詩集「秋の木の葉」の中の1篇。リストはパリにいた青年時代のある私的なサロンで、ユーゴー自身が出版前の原稿を朗読するのを聞いて深い感銘を覚えた。

曲は1種の交響曲だが、R・シュトラウスのアルプス交響曲の描写とは根本的に違った内容のものである。リストがここで描こうとしたのは、詩人が山の上で聞いた大自然の偉大な力と、人間の苦悩と葛藤である。リスト壮年期のもっとも意欲的な力作であり、もっと広く演奏されてしかるべき傑作である。

曲のテーマ

詩人は山の中で二つの声を聞くが、その1つは広大で秩序ある自然の声であり、もう1つは苦悩に満ちた人間の声である。この二つの声は争い入り乱れて、最後は神聖なものに解消することになる。

曲は自然の神秘を表した気分で始まり、やがて人間の主題と崇高で雄大な自然の主題が出て、両者が争うように進むうち、人間は宗教のうちに平安を得て、壮麗な讃歌が高らかに奏され、最後は平和な静けさのうちに曲は終りを告げる。

愛聴盤

ベルナルト・ハイティング指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

録音1970年11月 ロンドン

リスト・交響詩全集1

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