ピアノ楽曲 管弦楽曲 歌曲、宗教曲 リストの生涯 リンク
深き淵より(器楽による詩篇)

解説

この曲は存在のみが知られながら顧みられることがなかった初期の作品。宗教的な霊感によって作曲された曲で、リストの協奏的作品の中では最も長い。彼がピアノ演奏に超絶的な難技巧を追求していた時代に書かれたため、華麗なメロディを聴かせるというよりはテクニックを見せ付ける方向に拠っている。

構成

CDではアンダンテとアレグロ・モデラートに分けられているが、基本的に1楽章制で、三部形式をとっている。第1部は提示部と展開部を兼ねた長大なもの。主題をいろいろと変えていく概念が全体を通してみられる。

第2部では華麗なポロネーズ風の間奏があり、続いて提示部の要素が再現される。

この作品は提示部とそっくり同じ箇所に達したところまでしか書かれていないので、もしかしたらリストは短いコーダを加えるつもりだったのかもしれない。しかしこのままでも楽曲は本質的に完成していると思われる。

愛聴盤

スティーブン・メイヤー(ピアノ)
タマーシュ・ヴァーシャリ指揮/ロンドン交響楽団

録音1991年4月 ウォルサムストウ・タウン・ホール



この曲の録音はこれが世界初。独奏者のスティーブン・メイヤーは15歳でニューヨーク青少年ピアノ・コンクールに優勝。その後、アメリカ各州やヨーロッパの一流指揮者たちと競演している。

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