解説
1883年出版。1、2、3、4、7番は1877年、5,番は1872年、6番は1867年に作曲。
「第1年」「第2年」とは異なり、「第3年」に収められている作品はローマに定住していた時分などに書かれているとはいえ、“旅行”という表題をあまり強く打ち出してはいない。“巡礼の年 第3年”は、晩年のリストの断片的な謎めいた簡潔さへと、収縮していく前のリスト後期のスタイルの豊かな例となっている。そのため先の“スイス”“イタリア”に比べ人気はいまひとつのところがあるが、作品内容という点では決して劣ることのない傑作揃いの作品集となっている。
1. アンジェルス!守護天使への祈り
2. エステ荘の糸杉にI:哀歌
3. エステ荘の糸杉にII:哀歌
4. エステ荘の噴水
5. ものみな涙あり
6. 葬送行進曲
7. 心を高めよ
晩年の宗教的、あるいは印象主義を思わせる作品まで様々な傾向の作品が収められており、作風の変遷もよくわかる。この中では4番の『エステ荘の噴水』が特に有名。