解説
「巡礼」の「第1年:スイス」では自然が扱われているが、「第2年:イタリア」では絵画と文学に集点が当てられてた7曲の連作。1937年夏から1939年秋にかけて、リストがイタリアに滞在した時期に大半の曲が作曲されたが、出版されたのはかなり後の1958年になってからである。
「婚礼」はラファエロの名作「婚礼」に基づいていて。極めて先例された和音によって、輝かしいオーラが表現されている。
「物思いに沈む人」はミケランジェロの彫刻と詩に基づいていた作品。リストはこの曲がオーケストラ用の編曲で自身の葬儀に演奏されることを望んでいたが、その希望は叶えられなかった。
ラストの曲「ダンテを読んで」は≪ダンテ・ソナタ≫として1939年に発表した後、加筆訂正して1849年に≪ソナタ風幻想曲〜ダンテの新曲への序文≫改題。本作品集に収録する際、「ダンテを読んで」というタイトルに変更された。これはユーゴーの詩集≪内なる声≫の中の同名の詩に基づいており、ダンテ「新曲」の第1部地獄辺に描かれた凄惨な光景を音で表現しようとした楽曲である。
「第2年:イタリア」はのちに≪ヴェネツィアとナポリ≫と題して、「ゴンドラを漕ぐ女」「カンツォーネ」「タランテラ」の3曲が追加されている。今日一般的には最初の7曲のあくまでも付け足してきな扱いをされる傾向が強い。