ピアノ楽曲 管弦楽曲 歌曲、宗教曲 リストの生涯 リンク
イタリアのハロルド Harold en Italie 

解説

バイロンの詩集「ハロルド卿の巡礼」は、ロマン的な主人公ハロルドが諸国を巡り歩く物語。

ベルリオーズは彼の「幻想交響曲」に感動したパガニーニからヴィオラと他楽器のための作曲を依頼され、この詩にもとづく「イタリアのハロルド」を作曲した。同じく「幻想交響曲」に熱狂したリストはこの曲をピアノ用に編曲。あまり編曲というものを好ましく思わなかったベルリオーズもこの流麗なアレンジは認めざるを得なかった。

そしてリストは次の編曲作品として「イタリアのハロルド」を提案。ベルリオーズは最初これに難色を示したが、600フランが作曲者に支払われることで納得。そのときベルリオーズはヴィオラのパートを出来るだけオリジナル通りに残すことを主張。ヴィオラはハロルドそのものだというのが理由だった。

構成

第1楽章 山におけるハロルド、哀愁、幸福と歓喜の情景
緩やかな序奏で開始。フーガ風のピアノが、半音階的な歩みをくっきりと際立たせる。やがてハロルドの主題が現れ、ハープを模した分散和音の伴奏でゆったりと流れ、このあと快活な主題が登場。

第2楽章 夕べの祈祷をうたう、巡礼の行進
日暮れ、ハロルドの一行が過ぎてゆく。一行はひとときの小さなカペレで賛美歌を歌い、やがて静かに歩みさる。リストは様々な楽器の音色を巧みにピアノに移し、鐘の音も印象的で、管楽器よりもリアル感のある巡礼行進曲となっている。

第3楽章 アルブリッチの山人が愛人に寄せるセレナード
クリスマスの頃アルブリッチの山を訪れる牧人たちの部局がまず元気よく奏でられ、ついで美しいセレナーデとなる。この楽章のみ、リストによってヴィオラの楽譜に追加がなされている。

第4楽章 山賊の饗宴、前景の追想
ベートーベンの第9交響曲、最終楽章を思わせる手法。前3楽章の一部が回想されては、激しい主題がこれをかき消してゆく。ヴィオラはハロルドの主題を奏でるが、様々に形を変えて最後にはバラバラに切り刻まれてしまう。

愛聴盤

ジャン・フランソワ・エッセール(ピアノ)、ヴリュノ・パスキエ(ヴィオラ)

録音1989年 アルル

HOME
inserted by FC2 system