ピアノ楽曲 管弦楽曲 歌曲、宗教曲 リストの生涯 リンク
愛の夢、3つの夜想曲

解説

自作の歌曲を元にピアノ独奏用として編曲した、3つのサロンのための小さな作品集。なかでも第3番≪おお、愛したまえ≫はリストの全作品中でももっとも代表的な曲で、
≪愛の夢≫といえばこの曲だけを指すほどに有名。元になった歌曲よりも、こちらの方が一般に知られている。

構成

第1番:高貴な愛
ウーラントの詩による同名の歌曲のピアノ独奏用パラフレーズ。宗教的霊感を受けたピアノ曲の作曲家としての一面を反映しているというべき作品。ウーランとの詩は神の愛が自分に向けられていることの豊かさを吐露する。そしてそのために現世の幸福を諦め、殉教の道を歩む。こうした聖なる世界は、リストの作品の中で、俗なる世界との奇妙な並存を見せる。

第2番:幸福の死
これもウーラントの死。≪私は死んだによる歌曲≫S308に基づく。第1曲での天国の愛に対し、これは地上の愛。愛する女性のとりこになっている男の妄想といったところ。男は愛の歓喜に行き絶え、彼女の眼に天国を見る。

第3番:おお愛したまえ
ドイツの叙情詩人、フライリヒラートの詩集「束の間の間」に収録された「おお、愛してください、愛しうる限り」を元にした歌曲S298からの編曲。「墓場に立ち、嘆かずにすむように、あなたに心開く人に、火と燃える愛を捧げてください」といった内容。大胆な転調とアジタートで高揚された音楽は、転調してカデンツァに入るところにリストのピアノズムの精髄がある。カデンツァノ後、テンポを速めながら主題を再現する部分も、名人芸のための音楽として十分な演奏技術を要する。中間の副音アルペジオが、興奮をいっそう盛り上げるだろう。
愛聴盤

ホルヘ・ボレット(ピアノ)

録音1982年9月ロンドン

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