第5交響曲までのエピソード
1960年4月のラジオ対談より
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あなたがマーラーと出会ったとき、すでに彼は5番までの交響曲を仕上げていましたね。
アルマ
少し違います。「交響曲第4番」は完成していましたが、「交響曲第5番」は作曲途中の段階でした。この作品はそれまでのマーラーの交響曲の中で、もっとも、壮大でまとまりを持った作品だと思います。
マーラーは当時、自分の感情をコントロール仕切れていなかったようでしたね。機嫌が良いかと思えば急に憂鬱になり、憔悴しきっていたのがとたんにはしゃぎ始めたりで、まわりからは「気分屋の官邸歌劇場監督」と呼ばれていました。私はそんな芸術家の典型ともいえる状態の彼と出会ったのです。もちろん彼の作品については知っていましたが。

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