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交響詩の創案 (1847-1860年)
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交響詩のはじまり
表題音楽の理念を実際の音楽において結実させるべく、リストが取り組んだジャンルが交響詩だった。19世紀に生まれた、重要な音楽ジャンルであり、後期ロマン派の作曲家に大きな影響を与えた。 交響詩の特徴は 表題音楽である、単一楽章、主題の変容によって統一されている などが上げられる。 リストは交響詩の発明者 であるが、それには友人だったベルリオーズの「幻想交響曲」が大きく関与している。交響詩という呼び名は、1855年に「音楽新時報」という雑誌の中の「ベルリオーズと彼のハロルド交響曲」というコラムで、リストが初めて使用したものである。そこで彼は「交響詩-Symphonische Dichtung」という言葉を創案した。 |
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交響詩とは
交響詩とは表題を持つ音楽といえるが、それでは表題とはなんなのか。「表題とは作曲家が自分の作品に対して、聞き手が勝ってな解釈をもつことから、本来の理念や方向性へと目先を向けさせるための指標となるもの」とリストは記している。 動機の反復や移り変わり、転調は作品の詩的想念に関連して決められる。そして作品の形式と精神的内容は、きわめて繊細にぴったりと一致していなければならないというのが、リストの提示した見解なわけだ。 交響詩とは単に「表題」を持つ単一楽章の管弦楽作品ではなく、管弦楽による詩なのである。そしてリストが述べている詩とは「叙事詩」であった。それは神話と結びつき、英雄的な人物が存在する。叙事詩はその時代の人々の精神を反映するものであるから、それを音楽という言語によって再現するわけだ。だからリストは「交響詩」を現代芸術にしっかりと根付かせ、オラトリオやカンタータと比較出きるくらいにまでしなくてはならないと考えていた。 |
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ワーグナーとの関係
ワーグナーはドラマの中で詩と音楽を完全に融合させることによって最高の表現にいたると主張し、ベートーベンの「第9交響曲」を交響曲の終わりととらえ、そこから楽劇の時代が始まると考えていた。リストはそんなワーグナーのドラマとシンフォニーを融合させた音楽を高く評価していた。 1849年2月に「タンホイザー」がリストによって上演されたとき、ワーグナーは素直に感謝の気持ちを述べている。そして5月にはドレスデン革命に参加した罪で逃亡の身となったワーグナーのために餞別を渡すなどの援助を行なっている。 1853年7月にチューリッヒのワーグナー宅をリストは訪問した。このときリストの「ファウスト交響曲」などたくさんの交響詩をぐたりで検討し、ワーグナー自身の創作意欲もおおいに刺激された。 1850年代はリストとワーグナーがもっとも密接な関係にあった時代だが、二人が直接あったときにどういったやりとりがあったかに関しては不明な点多い。公の場においてはお互いに賞賛しあっているが、それにはお互いの立場というものもあったのだろう。ワーグナーは56年1月に、毎年1,000フラン、2年にわたって援助するよう懇願している。ワーグナーはワイマールで「リエンツィ」上演の話があったとき、前払いを要求して拒否されているが、このときリストはあまり力になることが出来なかった。さらに1854年頃からキリスト教に対する宗教観の違いがはっきりしてきたことや、娘コジマとワーグナーの恋愛なども重なって、二人の関係は複雑にこじれていく。しかし、 ワーグナーと関係したことが、リストの交響詩作品に大きな影響を与えたことは確実といえるだろう。 |
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主題の変容
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リストの交響詩
リストの交響詩は全部で13曲あるが、そのうち12曲がワイマール時代に作られている。作品のテーマは、詩、文学、絵画だけでなく、リストの序文というのもあれば、単に曲名だけという場合もある。表題の傾向としては、困難に直面した英雄がジレンマに陥りながらもそれを克服していく、という内容が多い。リヒャルト・シュトラウスの交響詩などに比べると軽いものに感じるが、当時の混乱した社会情勢の中で、リストが人々の平和や幸福を願う姿勢が反映されたものともいえるだろう。 作品の表題内容は、同じような傾向のものが多い。困難に直面した英雄的人物がジレンマに陥りながらも、それを克服していくといった内容である。音楽自体も暗く不安定な性格から、凱旋的な性格へと変化する作風が多い。 |
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